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薬局のM&Aって怖い?―薬剤師さんが知っておきたい安心材料

薬局のM&Aって怖い?

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こんにちは。

社会保険労務士の玉上信明(たまがみのぶあき)と申します。

 

最近、

「うちの薬局がM&Aされるらしい」

「経営統合のニュースを聞いた」

という声が薬局現場でもよく聞かれるようになりました。

 

そんな時、まず頭に浮かぶのは――

「私の給料は下がるの?」

「これまでの勤続年数や退職金はどうなるの?」

「急に転勤や配置換えになるんじゃないか」

こうした不安ではないでしょうか。

 

でも安心してください。

法律や実際の事例を見ても、M&Aがあったからといって、労働契約や待遇が勝手に変えられることはありません。

ここでは薬剤師さんの立場から「知っておくと安心できるポイント」をお伝えします。

 

今回のポイントを先取り

・M&Aですぐ待遇が変わることはありません。働く人の権利は法律で守られています。

・M&A直後の半年~1年は現状維持が基本です。企業はスタッフの流出を一番恐れるからです。

・その後に統合作業が進んでも、リストラの対象になるのは主として管理部門であり、薬剤師は貴重な戦力として大切に扱われるのが通例です。

・逆に、実際に待遇が良くなったケースもありますのでご紹介します。

 

M&Aの形態と薬剤師さんたちの労働条件

M&Aには様々な形態があります。それぞれについて薬剤師さんの処遇がどうなるか、解説します。

 

合併の場合

合併は、複数の企業が一つになる、という形態です。

元の会社と従業員との間の権利義務については「包括承継」というルールがあり、

給料・勤続年数・福利厚生などはそのまま存続会社に引き継がれます。

就業規則の細かい部分が統一されることはありますが、

「契約がリセットされる」「契約内容が新会社によって不利益に変更される」ということはありません。

 

株式譲渡の場合

株主が変わるだけで、会社そのものは存続します。

つまり雇用主も契約も変わりません。

従業員の立場から見ると、経営者が入れ替わっただけで日常の仕事に直結する変化は少ないのです。

 

事業譲渡・会社分割の場合

事業譲渡では会社と従業員の間で個別に「新しい雇用契約を結ぶ」必要があり、条件変更リスクがゼロではありません。

とはいえ、労働契約は会社と従業員の合意で成立するのですから、会社が勝手に労働条件を決めることはできません。

 

会社分割は、会社を事業ごとに分割して、他の会社に引き継ぐものですが、

「労働契約承継法」によって、正社員・パートを問わず雇用は守られ、退職金・勤続年数・有休もそのまま引き継がれます。

 

「すぐに待遇が悪くなる」ことはない

薬剤師さんがよく心配するのは、

「明日から突然、給料が下がるのでは?」

「来月には異動になるのでは?」

という点です。

 

実際には、買収直後の半年~1年は現状維持が基本です。

企業はスタッフの流出を一番恐れるため、この時期に大幅な人員削減や待遇悪化を行うことはまずありません。

 

配置転換や組織の見直しが検討されるのは、統合作業が本格化する半年~1年後以降。

しかもターゲットになりやすいのは重複する管理部門や本部スタッフで、

薬剤師のように採用・育成にコストがかかる人材は「むしろ大切にされる」ケースがほとんどです。

 

 

実際に待遇が良くなったケース

「M&A=不利益」というイメージを持つ方も多いですが、最近はむしろ待遇改善につながる動きがみられます。

 

  • ココカラファイン × 薬宝商事(2020年)

今回の代理店化により、神奈川県におけるドミナントを深耕し、

地域におけるヘルスケアネットワークの構築を推進するとされています。

ココカラファインはもともと地域の健康増進を支援する

「健康サポート薬局」づくりに重点を置いています。

神奈川県下での「健康サポート薬局つくり」の戦略的取り組みとして、薬剤師の待遇改善の動きが推察されます。

 

  • ウエルシアHD × クスリのマルエ(2020年)

本件M&Aの目的は、群馬県のドミナント強化および人材などの経営資源の共有による企業価値の向上にある、とされています。グループの教育制度やキャリアパス導入、給与モデル改善も期待できます。

 

  • 住友商事 × 薬樹

大手資本の後押しで在宅調剤・予防医療に関する研修が拡充。薬剤師としての専門性を伸ばす環境が整いました。

 

  • ファーマライズHDによる寛一商店の一部事業譲受(2024年)

経営基盤が安定し、キャリアパスが広がる取り組みが導入されました。

 

これらは「大手グループに入ると、研修・福利厚生・給与水準が上がる」ということが推察されます。

 

不安を前向きに変えるヒント

もちろん、M&Aに伴って職場の雰囲気が変わったり、新しいシステムに慣れるまで戸惑いがあるのも事実です。

ただ、次の3つを押さえておくと、少し気持ちが軽くなるはずです。

 

  1. 労働契約は法律で守られている

勝手に条件が変えられることはない。

 

  1. 薬剤師は「手放したくない人材」

処遇悪化より、むしろ定着のために手厚くなる傾向がある。

 

  1. M&Aはキャリアアップのチャンスでもある

大手の教育制度・評価制度が利用でき、将来の選択肢が広がる。

 

まとめ

薬局のM&Aは、働く側からするとどうしても不安が先に立ちます。

しかし実際には、契約は守られる仕組みがあり、待遇改善につながるケースも多いのです。

 

だからこそ大切なのは、

「もし新しい制度や研修が導入されたら、自分のキャリア形成にどう活かせるか」

と前向きにとらえること。

M&Aは終わりではなく、新しい働き方や成長のきっかけになる可能性を秘めています。

 

(M&Aと労働者の権利義務について、詳しく知りたい方は次の資料をご覧ください)

M&A・組織再編で労働者はどうなる?その処遇と注意点について、弁護士が解説!