薬剤師さんが困った患者さん(カスタマーハラスメント)への対応3ポイント
こんにちは。
社会保険労務士の玉上信明(たまがみのぶあき)と申します。
薬局でもお客様の理不尽なふるまい、
すなわちカスタマーハラスメントに苦しむことも多いようです。
暴言、無理難題、嫌味皮肉、長時間の居座り、中にはストーカーまがい事案さえあります。
職場環境が悪化し、勤め続けられない、という思いの方もおられるでしょう。
医療機関のカスハラは
「患者ハラスメント(ペイシェントハラスメント)」
とも言われます。
業務の性格上、独自の注意点もあります。
この記事では、薬局でのカスハラ対応の勘所を、厚生労働省の通知等も参考にわかりやすく 解説します。
今回のポイントを先取り
薬局はじめ医療福祉現場のカスハラは深刻な問題。
次の3ポイントで対応を考えよう。
・「応招義務」を勘違いしない。正当理由あれば調剤拒否すら可能。
・厚生労働省や関係団体などが対策を示している。これらを参考に毅然と対応しよう
・中にはストーカーまがいもありうる。すぐ警察と相談を。
薬局はじめ医療福祉現場のカスハラは深刻な問題
パーソル総合研究所の2024年調査では、医療・福祉業の43.1%にカスハラの被害経験があります。
しかし、病院や施設等のうち4割では対策が実施されていません。
対応に時間を取られれば、他の来院者の対応にも支障が生じます。
薬剤師さんなど現場の方の大きな負担となります。
カスハラ対応が不十分な薬局なら、薬剤師さんも就職・転職先としても二の足を踏むでしょう。
「応招義務」の勘違い 正当理由あれば調剤拒否すら可能
薬剤師のほか、医師、歯科医師、助産師等に対し、薬剤師法・医師法などの法律で「応招義務」が定められています。
「正当な理由がなければ患者等の診療・調剤などの医療行為を拒んではならない」というものです。
そこから医療機関などでカスハラ行為者への対応にちゅうちょされる方もいるようです。
しかし「正当理由」があれば診療・調剤など医療行為の拒否さえも許されるのです。
薬剤師法の条文は以下の通りです。
薬剤師法(調剤の求めに応ずる義務)
第二十一条調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。
厚生労働省の通達では次の場合は「正当理由あり」として診療拒否等が認められるとされています。
① 患者の迷惑行為
迷惑行為の態様から、診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合。
たとえば、診療内容そのものと関係ないクレーム等を繰り返し続ける等が典型例。
② 医療費不払い
支払能力があるにもかかわらず悪意を持ってあえて支払わない場合 等
要するに、一般の企業等と変わりないのです。
カスハラ該当行為があれば、医療機関としての緊急対応が必要でない限り、毅然と拒むことすらできる、と考えてよいでしょう。
厚生労働省や関係団体などの対策を参考にしよう
例えば、東京都医療勤務環境改善支援センター(東京都保健医療局)から医療機関管理職、事務部門職員向けの説明資料として「テーマ:カスタマーハラスメント対策、行っていますか?」を発行しています。
「患者やその家族等からの暴力、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為などに対しては、医療機関として毅然とした態度で臨み、医療従事者が守られていると感じ、安心して仕事ができる環境づくりに努めることも大切です。」
社会通念上不相当な言動の例
暴力、ひどい暴言、不当な要求等等の不相当な言動の例です。
状況によっては、刑事罰が科される犯罪行為です。
・身体的な攻撃(暴行、傷害)
・精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)
・土下座の要求
・継続的、執拗な言動
・拘束的(不退去、居座り、監禁)な行動
・性的な言動
・商品交換や金銭保証の要求
具体的な対応策
厚生労働省「カスタマーハラスメント対策リーフレット」では次のように整理されています。
・現場で迷わないようにカスハラの判断基準を明確にしておく
「要求内容が不当」な場合のみでなく、「要求の態様が不当」でもカスハラに該当します。
・対策の基本的枠組み
トップが基本方針を決定し従業員に周知。顧客にポスター等で周知 相談・対応体制明確化
・初動段階での適切な対応
複数で対応、議論は避ける、その場しのぎの対応はしない、など
中にはストーカーまがいもありうる。すぐ警察と相談を
なお、カスハラ行為者の中には特定の薬剤師さんに長時間話しかける、といった人もいます。
これは、業務の妨げになるだけではなく、ストーカーまがい、ということもありえます。
客が「薬剤師さんが自分に好意を寄せている」と勝手に思い込む場合すらあり、妄想がどんどん膨らみ、付きまとい行為や暴力行為に発展することさえあります。
薬局長など責任者から、「特定のスタッフに長々話しかけられるのは迷惑です。おやめください」とはっきり言ってもらうべきです。
必要があれば、ちゅうちょせず警察とも相談すべきです。
参考資料
本文中に引用したもののほか、次の資料も参考になります。
厚生労働省「あかるい職場応援団」掲載の医療機関の実例






























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